築百年の古民家を再生させた住まい

隅々まで、美意識と古き良きものへのこだわりが。
屋根からのびた一本の煙突が印象的な「唯游庵」は築百年の古民家を再生させた住まい。
傷んだ屋根を解体し作業を進めるうちに、家の基本が構造材である梁や柱は傷んでいるどころかこれからも長く通用する立派な物ばかり。
プロジェクトは梁や柱はそのまま利用して現代風の住みやすい家屋に見事に変身させ、今ではお茶、お花教室として、また家主であるT氏のセカンドハウスとして蘇りました。


左)ストーブの後ろには保温効果も考えた大きな石の衝立。ストーブトップスチーマーでハーブを薫蒸すれば、加湿と香りの双方が同時に楽しめます。
右)薪ストーブからのびる煙突としっかり施された断熱で、書斎はやわらかな暖かさに包まれます。
まず玄関を入ると目に飛び込んでくる薪ストーブ。暖かな炎の揺らぎがゆったりとした豊かな気持ちにさせてくれます。
また、玄関から客間・奥座敷を眺めると、傍らには伊勢型紙を再利用したあんどん風の灯り、ふすまには古寺より譲り受け再生させた十六羅漢図が美しく収まっています。

a:二階廊下の照明にも伊勢型紙のシェードが。
b:総檜で新しくしつらえたお風呂。
c:ガラス戸に貼られた伊勢型紙を通して洩れる日差しが美しく映えます。
Tさんが自分のための時間を過ごすニ階の書斎は、荒土仕上げの壁と二百年前の古材を再利用した書架、そして一階からのびる薪ストーブの煙突が温かく落ち着き感にあふれた空間を創り出しています。
隅々にまで美意識と古き良きものへのこだわりが徹底した「唯游庵」。琵琶などの演奏会や高僧を招いた講話会なども開かれる、こころが和む豊かな魅力にあふれています。
ご紹介しました「唯游庵」の施工事例ですが、
薪ストーブがわかる本―ゆったりとした炎のぬくもりを楽しむためのガイドブック (Weekend living)
にて
紹介されました。